新年最初の飲み会はうつ病カウンセリング

新年はまだ始まったばかりで、これからも飲み会は続いてくが、まずは新年最初の飲み会の話。よくある話だが、その飲みに行った友達がうつ病ということをカミングアウトしてきた。俺はそれを否定することもできないし、うんうんと聞くことしかできなかった。

 まず、待ち合わせ場所に集合し店に入ると、少し待つことに。そこに設置しているベンチで会話をした。いきなりうつ病という話ではなく、まずはメダカにはまっていると言われる。「めだか?」という感じで掘り下げていくと、どうやらペットショップのようなところでめだかを買って飼育するのが趣味なんだとか。けっこういろいろ頑張っているようで、その飼育方法についていろいろ聞いた。席の準備が整ったようで、移動する。

 

その後も少しめだかの話をした後、仕事の話になり、

「おれ、次会社休んだらクビになるんだよね」

と言われる。「なんで?」と思う訳だが、どうやら出勤しない日が頻繁にあるようだ。なぜかと聞いてみると、うつ病だからと自信満々に言われた。

 

これは面倒な感じになりそうだと思いながらも、「そうなの?」と心配した気配を見せる。この時あまり心配はしていない。もともと、俺はうつ病に対してあまり深く理解はしていない。自分がかかったからというわけではないし、本当にどういった状況になるのかわからないからだ。最近では一応、文面的にはうつ病というものを理解しているつもりではあるが、それでも本当の意味では理解していない。

 

俺はうつ病が怠けているとか、ずるいとか思ったことはない。うつ病になったと告白することで、その会社やコミュニティーで引かれていたレールは取り外されるからだ。もちろん前例がないとは言わないが、うつ病の人が会社で重要ポジションにつくことはないだろうし、コミュニティーで中心人物になることもないだろう。そういう風に制裁を受けていることを考えると、正当な評価であり、それはそれでいいじゃないかという感覚だ。しかし、問題はそこではない。俺に理解を求めてくることが問題だ。

 

これまでに数人のうつ病患者を見てきた。決まってみんな俺にうつ病になりましたという報告をしてくる。いやいや、「結婚しました」じゃないんだ。そんなノリで話してくるんじゃない!俺は何もしてやれないし、共感もしてやれない。ただ、否定もできないから本当にテンプレの返答しかできない。そんな状態で俺が楽しいわけがない。俺はカウンセラーじゃない。普通に飲んで昔話をしたりこれからの話をしたりそういったものを求めて飲みに来ているのだ。

 

彼らはみんなこういう。

「世間でうつ病とか言ってる大半は嘘。でも俺のはマジ」

と。本当にそうかもしれない。たまたま俺の出会った人がマジなやつなのかもしれない。しかし俺にとってはどうでもいいんだ。うつ病の人は話を聞いて欲しいだけなんてことも聞いたことがある。でも俺じゃなくていいだろう。うつ病自慢はうつ病同士でやって欲しい。そして一つ疑問があって聞いてみた。

「楽しいことが待っていても、うつ病って発症するの?」

ときいてみると、

「辛いことが目の前にあるときだけうつ病が出ると思ってるでしょ?甘い!」

と言われた。ちょっとイラっとした。

「実は今日もうつ病が激しくて本当は来たくなかった」

と言われる。いやいや、無理すんなよ。というか俺はそれを聞いてどうしろと言うんだよ。しかし、

「ただ、今日行かなかったら全てを失うような気がした。きて良かった」

と言われた。悲劇のヒーロータイプなんだろうか。俺は全然嬉しくないしそれなら中止にしてくれても良かったくらいだ。もちろん行くまではうつ病ということはわかっていなかったから、ドタキャンされたらそれは残念だと思っただろうが、いろいろ知った段階ではキャンセルしても良かったのにと思っている。

 

とまぁ新年最初の飲み会はこんな感じだ。正直面白くないスタートではあるが、今こうやってブログを書いて振り返ってみると案外面白い展開ではあったし、話のネタにはなったと思う。次はどんな飲み会が待っているのか。新年のイベントはまだまだ続く。